PharmDの日記

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世界初の臨床試験を知っていますか?

 

今回は、臨床試験の歴史について説明いたします。世界初の臨床試験、無作為化比較試験、二重盲検法による無作為化比較試験はご存じでしょうか?

 

 

1.臨床研究の分類

臨床研究を目的別に分類すると…

• Diagnostic Research ー この人は何の病気だろう?
• Etiologic Research ー 何でこの病気になったのか?
• Prognostic Research - この人はこれからどうなるのだろう?
• Intervention (therapeutic) Research ー どんな治療ができるだろうか?
• Side Effect Research ー この薬の副作用は何だろう?

2.世界初の臨床試験

息切れと高麗人参

・最古の観察研究は、約1000年前の11世紀中国で行われました。高麗人参の効果を評価するために、2人の人が研究に選び、1人は高麗人参を食べ、もう一人は高麗人参を食べず、2人に約1500~2500mほど走ってもらいました。
結果として、走った後、高麗人参を食べない人はひどい息切れを発症したが、高麗人参を食べた人は均一でスムーズな呼吸をしていました。治療が
行われない対照群を用いて行われた世界初の研究になります。

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3.世界初の無作為化比較試験

脚気と玄米

• 1905年にクアラルンプール精神病院で脚気が流行が起こりました。脚気は、神経系や心臓に影響を与える可能性のある病気で、20世紀初頭に東南アジアで一般的でした。外科医として務めていたウィリアム・フレッチャーがこの機に脚気の予防に関する研究を行いました。
・研究の内容としては、各患者に番号を割り当てて、偶数と奇数の番号で
病棟を分け、1方の病棟では玄米食を、もう1方の病棟では白米食を与えて
経過を観察しました。
・研究終了時、白米食を与えられた患者の15%が脚気で死亡し、 玄米食
与えられた方の患者は一人も死ななかったことから、 玄米食の有効性を確認しました。

ウィリアム・フレッチャーの1907年の報告書が脚気の原因と治療法の発見に貢献したこと。- ジェームズ・リンド図書館 ジェームズ・リンド図書館 (jameslindlibrary.org)

4.世界初の二重盲検法による無作為化比較試験

肺疾患(結核)と抗生物質

・1948年、疫学者であり統計学者としても知られるオースティン・ブ ラッドフォード・ヒル二重盲検法による無作為化比較試験を実施しました。この試験は、肺疾患である結核への抗生物質ストレプトマイシンの治療効果を評価するものでした。
・研究の内容として、乱数表を使用して患者を選別し、抗生物質ストレプトマイシンを使用して治療するか、ストレプトマイシンを使用せずに治療するかを決定しました。 さらに、治療を担当する医師にも、患者にも「誰がストレプトマイシンを投与されているのか」を知らせない「二重盲検法」で行いました。(詳細は封筒で管理)これらは現在、無作為化比較試験の標準的な特徴となっています。

The History of Clinical Trials | SpringerLink